天空率:道路斜線隅切りが曲線の場合

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エディエス君

note記事のバックナンバーです。
隅切りがカーブの場合の設定方法をご紹介します。

サポートセンターへのよくある問い合わせに、
「隅切りがR形状にカーブしている場合、どのように設定すれば良いか?」というものがあります。
このような場合、ADSのシステム上、曲線を作成することができないため、「直線で設定して下さい」とお答えしています。

 

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 < 隅切りが曲線形状、こんな時どうする? >


今回は、隅切りを直線で設定する方法をいくつかご紹介します。
隅切りの設定は、日影規制ラインや天空率の道路斜線領域に影響します。
また、審査機関等の指導内容、天空率算定方式、交差点の角度や形状などによって、設定方法か変わります。
状況に合った方法を選んで設定して下さい。

目次

  1. 隅切りについて
  2. 設定 1:バッサリ1本の直線にする
  3. 設定 2:曲線部分を「隣地境界線」にする
  4. 設定 3:隅切りなしで領域作成した後、曲線に修正する
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1. 隅切りについて


ADSシステムでは、曲線の設定は出来ません。
したがって、隅切りが曲線の場合、
・直線を細かく分けて曲線に近い形状にするか、
・曲線部分を無いものとして双方の道路境界線を1本の直線で結ぶか、
のどちらかになります。

また、隅切りは連続して設定できません。
つまり、与条件設定>境界線条件>メニューでは、道路境界線と道路境界線に挟まれた線でないと、「隅切」を選べません。
したがって、隅切りを「直線を細かく分けて曲線に近い形状」にした場合、システムでは、連続した隅切りの境界線の種類を「隅切」ではなく、
「道路」または「隣地」にする必要があります。

 

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 < 連続して「隅切」は設定不可 >

 

2. 設定 1:バッサリ1本の直線にする

 
一番シンプルな方法です。
 
<手順>
1) 与条件設定>境界線条件>にて、当該境界線の種類を「隅切」にします。
2) 与条件設定>道路・交差点>にて、隅切辺を選択し、交差点形状を選択します。
3) 天空率>メニューに進んで下さい。

 

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 <隅切りの曲線を考慮せず、バッサリ直線にする>

 

 利点
 敷地や道路交差点の形状に応じた天空率算定領域が自動で作成されます。
 日影規制ラインは、敷地や道路交差点の形状に沿って作成されます。

○ 注意点
 審査機関等から実際の敷地・道路形状通りに検討するよう指導がある場合があります。その際は、別の方法で検討して下さい。
 

3. 設定 2:曲線部分を「隣地境界線」にする

 
以下の場合に有効です。
・隅切りを比較的粗い直線で曲線状に結ぶ
・十字路交差点
・T字路で交差点に接する敷地角度が90度以下の回り込みにならない形状
 ※ 詳しくは→ 【天空率:道路斜線「交差点」設定について】

 

<手順>
1) 与条件設定>境界線条件>にて、当該境界線の種類を「隣地」にします。
2) 与条件設定>道路・交差点>にて、道路境界線を選択し「通り抜け道路」を選択します。
3) 天空率解析>簡易設定>にて、天空率算定領域を作成します。
4) 天空率計算>メニューに進んで下さい。

 

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 < 隅切りを比較的粗い直線で結び、種類を「隣地」にする>

○ 利点
 敷地形状に沿った天空率算定領域が作成されます。

 

○ 注意点

 
1)
隅切り境界線の分割が細かいと「通り抜け道路」の設定ができない場合があります。「行止り道路」の状態では、現況の交差点形状に合った領域が作成できません。その場合は粗い直線で結んで下さい。

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  < 粗いカーブにする >
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 < 隅切り境界線が細かくて「通り抜け道路」が選べないケース >

 

2)
「通り抜け道路」では回り込み設定ができないので、T字路交差点角度が90度以内の際の設定となります。
T字路で交差点に接する敷地角度が90度を超える場合は、適切な回り込みの領域形状に設定できません。別の方法で検討して下さい。

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 <JCBA方式:T字路で交差点に接する敷地角度が90度を超える場合、領域は回り込み形状となる>

3)
東京方式の場合、領域形状、測定ライン共に手動修正が必要となります。

 

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 <東京方式は、領域と測定ラインの形状を修正>

4)
日影規制ラインが正しく作成されないので、日影を検討する場合は、「みなし敷地」を修正する必要があります。
・与条件設定>みなし敷地>にて、みなし敷地範囲を編集します。

 

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 < 日影規制ラインは、みなし敷地の範囲を元に作成される >

 

4. 設定 3:隅切りなしで領域作成した後、曲線に修正する


以下の場合に有効です。
・隅切りを細かい直線で曲線状に結ぶ
・十字路やT字路で交差点に接する敷地角度が90度以上の交差点形状
・日影規制も検討する

 

○ 利点
 ・敷地形状に沿った天空率算定領域が作成されます。
 ・敷地、道路・交差点形状に沿った日影規制ラインが作成されます。

○ 注意点
  ADS-BT系ソフトは、天空率算定領域の編集ができません。
  別の方法で検討して下さい。

 

<手順>
0) 事前準備、敷地登録をします。
・敷地データをインポートします。以下両方がある図を用意して下さい。
  ・隅切りを直線に分け曲線状に結ぶ
  ・交差点まで真っすぐ道路境界線を伸ばす
・与条件設定>外部図形変換>にて、交差点まで道路境界線がある範囲を本敷地登録します。

 

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 < 敷地データをインポートし、本敷地登録 >

1) 各与条件の設定をします。
・与条件設定>本敷地>にて、交差点位置の道路境界線が真っすぐ延長した形状になっていない場合は、敷地形状を編集します。
・与条件設定>の各メニュー:方位、用途地域、地盤面、日影規制等にて、
計算に必要な条件を設定します。

 

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 <与条件設定>本敷地>メニュー>

2) 与条件設定>境界線条件>にて、「道路」の設定をします。

 

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 <与条件設定>境界線条件>メニュー>

3) 与条件設定>道路・交差点>にて、現況の交差点形状に設定します。

 

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 <与条件設定>道路・交差点>メニュー>

4) 天空率解析>簡易設定>にて、天空率算定領域を作成します。

 

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 <領域作成:方式を選択して「更新」>

=> 天空率解析>簡易設定>にて、作成領域を確認します。

 

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 < 南側道路の隅切りを含む領域 >
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 < 東側道路の隅切りを含む領域 >

5) 天空率算定領域の編集をします。
天空率用図形>ブロック編集>にて、適合建築物ブロックを隅切りを下図に沿って曲線形状に編集します。

 

◇ 南側道路の隅切りを含む領域

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 < 平面図 >
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 < アイソメ図 >


◇ 東側道路の隅切りを含む領域

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 < 平面図 >
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 < アイソメ図 >

 

6) 天空率計算>メニューに進んで下さい。

 

以上、隅切りが曲線の場合は自動で簡単に設定が出来ません。
審査機関等ともご協議の上、状況に応じた方法で設定してみて下さい。